放課後、学級委員長の私は社会科資料室の整理を簡単でいいので手伝ってくれ、と副担任に頼まれた。
今日は塾もないし帰宅部の私は、かっこいい植木先生からの頼みなので二つ返事でOK!した。
植木先生ってかっこよくて生徒に人気あるけど、無口で二人きりになると気まずいことに気付いた。
小橋「植木先生ってどんな音楽好きなんですか?」
植木「…」
小橋「…あまり音楽とか興味ないんですか?」
植木「…いや…」
植木先生はあまり喋りたくなさそうだったので深入りはしなかった。というか深入りさせてくれない雰囲気を醸し出していた。
何故こんなことを聞いたかというと、生徒の間で「高橋先生と植木先生がバンドを組んでいる」と噂が流れたことがあったからだ。


私は興味本意で聞いてみたのだが無理だった。
それから何も話さないまま資料室の整理を終え、帰ろうと支度をしていると、視界に影が落ちてきて暗くなった。
ふと見上げるとすぐ目の前に植木先生が立っていた。背が高く無口な植木先生はそれだけで威圧感があった。
植木「…お疲れ様。手伝ってくれたお礼。」
小橋「…え?」
植木先生の顔と差し出した物を交互に見る私。
小橋「え、あ、あぁ!『好きな音楽』!?」
無言で頷く植木先生。
小橋「…『KISS』…じ、地獄の軍団?」

先生が差し出したCDは洋楽で、しかもかなりのヘビメタらしいイメージがジャケットを見ただけで分かった。
顔が白い…昔…日本にもいたよね…
植木「…嫌いか?」
小橋「え?ううん。違いますよ!ただ、洋楽とかこうゆうジャンルに縁がないから…でも聴いてみます!」
植木「無理しなくていいぞ。」
小橋「無理じゃないですよ!」
植木先生が微笑った気がした。
小橋「あ、MDにおとしたらすぐ返しますね。」
植木「…そんなに慌てなくていいからな。塾とか忙しいだろうし。」
小橋「ありがとうございます。」
資料室を出た私はドキドキしていた。
かっこいいと思っていた植木先生に一歩近づけたから。
明日は、勇気を出して剣道部の見学に行こうと思う。
マネージャーなら、自分にも出来る気がする。もっと、植木先生に近づきたくなった。
N組委員長ピュア設定。
∴
PR